重症筋無力症かけはし基金

応援メッセージ

村井弘之先生
村井 弘之 先生
国際医療福祉大学医学部脳神経内科学 教授(代表)
脳神経内科医、医学博士(九州大学)

重症筋無力症(Myasthenia Gravis: MG)は、外見からは分かりにくく、誰にも気づかれずに日々を過ごしておられる患者さんが多くいらっしゃいます。私は長年、MGの診療・研究に携わるなかで、「治療を提供する」だけでなく、「その人の人生をともに歩む」という視点が極めて大切であると強く感じています。

このたび、若い世代の皆さんが主体となって、MGへの理解を深め、支え合う活動を進めておられることを大変心強く思います。この活動が、MGと向き合う若手医療従事者の学びの場となると同時に、患者さん・ご家族の希望となりますよう心より応援しています。

重症筋無力症(MG)診療の第一人者として、長年にわたり臨床・研究の両面で国際的に活躍してきた。日本神経学会専門医・指導医をはじめ複数の専門資格を有し、日本神経免疫学会学術集会会長など数々の要職を歴任。日本の重症筋無力症/ランバー・イートン筋無力症候群診療ガイドライン作成委員会委員長を務めるほか、国際的なMG診療ガイドラインの16名の著者の一人としても名を連ね、国内外で広く認められる世界を代表するMG専門医の一人である。さらに、厚生労働省難治性疾患政策研究班に所属し、患者会の顧問も務め、複数の製薬企業からの依頼に応じて解説を行うなど、行政、患者、産業界の各方面から厚い信頼を寄せられている。
川村佐和子先生
川村 佐和子 先生
公益財団法人東京都医学総合研究所 社会健康医学研究センター 客員研究員
医学博士(昭和大学、「筋・神経系疾患に対する公衆衛生看護学的研究」)、看護師、保健師
※川村先生のお写真は週刊医学界新聞第3550号より許諾を得て転載

このたび、重症筋無力症(MG)をもちながら大学で学んだり、仕事を続けたりしておられる若い方々からお話をいただき、皆様の活動を知りました。半世紀も前に、この病気の方々が友の会をつくるときにお手伝いしたことを思い出し、あのころから医学も進んだのに、まだこうした努力が必要なのだと改めて思い起こしました。

MGは他の病気と違う特徴をもち、一般的には想像しがたい症状があるため、これを社会が理解し、若者たちを支援する環境をつくっていくことに賛成し、微力ですが、お手伝いしたいと考えております。

聖隷クリストファー大学、東京医科歯科大学、東京都立保健科学大学、青森県立保健大学で在宅看護学、成人看護学・公衆衛生看護学の教授を務め、日本看護管理学会、日本在宅ケア学会、日本難病看護学会、日本看護科学学会などで要職を歴任。1961年に東京大学医学部衛生看護学科を卒業後、横浜市衛生局戸塚保健所、三鷹市役所衛生課、東京大学医学部保健学科疫学研究室、都立府中病院・都立神経病院勤務。1969年には全国スモンの会副会長に就任し、スモン患者の支援活動を契機に、日本における「難病」概念の確立と在宅医療の普及に大きく寄与した。また、日本初の重症筋無力症(MG)患者会「一般社団法人 全国筋無力症友の会」の設立にも中心的役割を果たし、現在の難病患者支援体制の礎の構築に貢献した。重症筋無力症をはじめ難病患者支援・在宅医療の分野で、半世紀以上にわたり第一線を牽引してきたパイオニア的存在である。『訪問看護師による在宅療養生活支援を可視化する 希望実現モデル』など著書多数。
寄本恵輔先生
寄本 恵輔 先生
国立精神・神経医療研究センター病院 身体リハビリテーション部 第1理学療法室 主任
人間科学修士(早稲田大学)、専門理学療法士(小児・呼吸・心血管・糖尿病・神経)
認定理学療法士(神経障害・呼吸・代謝)、呼吸療法認定士、介護支援専門員

重症筋無力症(Myasthenia Gravis: MG)は、神経筋接合部の自己免疫異常によって筋力低下を生じる疾患であり、この十数年で、抗体の種類や病態に応じた分子標的治療薬の開発が進み、症状コントロールの可能性は大きく広がりました。

しかし現実には、診断までに長い時間を要する症例、未知の抗体により進行する病態、日常的な症状悪化に直面する患者が今なお存在します。加えて、MGはしばしば就学・就労・結婚・妊娠・子育てといった重要なライフステージに発症することが多く、再発への恐れや社会的理解の乏しさが、患者の人生設計に大きな影響を及ぼしています。症状が目に見えにくいため、周囲に理解されず孤立してしまうこともあり、その背景には医療者・社会双方の「見えない疾患」に対する想像力の不足があります。

このような現状に対して、「重症筋無力症かけはし基金」は、患者自身の経験を医療・研究・教育の現場に届け、患者の声を社会と医療をつなぐ”新しい知の基盤”として可視化する取り組みです。この構想は、医学の枠を超え、患者と医療者が共に学び合う文化を育てるものとして極めて意義深いと考えます。

私は、神経筋疾患のリハビリテーションを専門とする立場から、本基金の設立趣旨に深く賛同し、またその理念と活動を心から応援しています。患者の声を出発点に医療を再構築していく姿勢は、すべての医療分野に共通する原点であり、この活動が将来、より包括的で人間中心の医療を築く”かけはし”となることを強く期待いたします。

神経筋疾患を中心に、急性期から在宅まで一貫したリハビリテーションを実践し、患者のライフステージに寄り添った支援に取り組んでいる。日本難病ネットワーク学会 評議員、日本神経難病リハビリテーション研究会 世話人、東京都理学療法士協会 代議員として、理学療法の臨床・教育・政策連携を推進している。また、鹿児島県離島、ネパール、中国など医療資源が乏しい国内外で神経難病および呼吸リハビリテーションに関する講演・教育活動を継続し、専門職の均てん化と国際的知識普及に尽力している。

研究活動においては、科学研究費補助金(科研費)をはじめとする公的助成を複数採択し、さらに呼吸リハビリテーション機器の安全性評価や支援技術に関する特許を取得するなど、臨床現場で生まれた課題を研究開発・社会実装へとつなげている。医療現場に根ざした患者中心のリハビリテーションを基盤に、多職種・行政・患者会を結ぶ協働モデルの構築を通じ、神経難病医療の未来を拓いている。